投資家の楽観の目を
覚ます新型肺炎

 先述したように、新型肺炎の感染拡大によって、世界第2位の中国経済はほとんど開店休業という状態にある。湖北省は企業の休業措置を3月10日まで延長し、自動車をはじめさまざまな業種で生産が滞っている。

 その影響が、世界経済を支えてきた米国経済などに波及することは避けられない。

 その背景には、世界経済全体の連動性が高まってきたことがある。グローバル化の進展とともに、米中の経済的なつながりは深まり、サプライチェーンや金融取引を介し世界各国の相互依存度も増した。新型肺炎を理由に米アップルが業績目標の達成が困難と発表したのは顕著な例だ。新型肺炎が中国経済の成長率を低下させ、米国をはじめ世界経済にかなりの下押し圧力がかかる展開は軽視できない。

 今後の新型肺炎の展開は見通しづらいものの、世界の市場参加者は、米国を中心とする世界経済の先行きを徐々に真剣に考え始めている。それが、2月下旬の世界的な株価急落につながった。

 ありていに言えば、新型肺炎は、先行きを楽観し続けてきた投資家の目を覚ましたといえる。過去5年程度の間、米国の株価は低金利環境による“カネ余り”に支えられた。金利低下から投資家は満足できる利得を得ることが難しくなり、米国株に資金が流入しやすい市場環境がつづいてきた。

 その中、大手投資家はAIを用いたトレードを積極的に進めた。その多くが過去のトレンドに基づき、下落局面を買い場ととらえるアルゴリズムを実装していたとみられる。それは、米国だけでなく世界的な株式相場を支えた大きな要因だ。さらに、本年11月の大統領選挙が近づく中で、トランプ大統領が景気対策を発動するとの見方も重なり、株価の上昇トレンドがサポートされた。

 昨年、米国主要企業の業績は大きく拡大していない。

 にもかかわらず、米国の株価が最高値を更新した背景には、こうした複合的な要因があったはずだ。それが、世界経済全体に広がることで群集心理が膨らみ、各国で先行きへの楽観が醸成された。新型肺炎の感染拡大により、過去のトレンドをフォローし、政策期待にベットする市場心理は崩れつつあるといえるだろう。

新型肺炎と
韓国の政治・経済の混乱

 この状況は、韓国にとってかなり厳しい。