ダイヤモンド編集部の独自試算により、全国にある600JAの「4分の1」が赤字に沈む衝撃的な実態があぶり出された。マイナス金利などの影響で“ドル箱”だった金融事業がお荷物と化すからだ。経営が悪化する農協は吸収合併の道を選ぶことになるが、それも万能薬ではない。特集『農業激変 JA大淘汰』(全9回)の#1では、JAおきなわなど断末魔の悲鳴を上げる地域農協の窮状に迫った。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
県域合併したJA高知県、JAさが
JAおおいたが赤字転落危機
「来るべき時が来た」ということか。かねて農協(農業協同組合)は、金融事業で収益を上げて、農業関連事業の赤字を補填することで経営を成り立たせてきた。
しかし、超低金利政策は金融事業に依存する農協の収益構造を壊し、ボディーブローのように農協の経営を圧迫しつつある。
ダイヤモンド編集部が信用事業(銀行業務)と共済事業(保険業務)を合わせた「金融事業」の減益額を農協ごとに算出し、2018年度の税引き前利益から差し引いたところ、全国にある600JAの「4分の1」に相当する153JAが赤字に沈んだのだ。
試算で金融事業の減益額が大きい順に並べた「JA赤字危険度ランキング」のワースト1位はJA香川県だった。JA香川県は、2022年度以降、金融事業総利益が約27億円も減るという試算結果が出た。