農協の大淘汰が始まった。2018年度は全国600JAの1割強が最終赤字に沈んだが、ダイヤモンド編集部の独自試算で22年度以降、153JAが赤字になることが分かった。農協の本分である農家支援をおろそかにして金融事業に依存する農協に未来はない。一方、激変期の農業に商機を見いだしたトヨタ自動車や三菱商事などは若手の有力農家の囲い込みを始めた。特集『農業激変 JA大淘汰』は初回の3月2日(月)から7日(土)まで、消える農協と攻める企業――主役交代が進む農業激変の現場を全9回の連載でレポートする。
#1 3月2日(月)配信
「消える農協」 独自試算で判明!600農協中4分の1は赤字転落
ダイヤモンド編集部の独自試算で、全国にある600JAの「4分の1」が赤字に沈む衝撃的な実態があぶり出された。マイナス金利などの影響で“ドル箱”だった金融事業がお荷物と化すからだ。経営が悪化する農協は吸収合併の道を選ぶことになるが、それは万能薬ではない。JAおきなわなど県単位で合併した複数の農協が赤字転落の危機にひんしており、断末魔の悲鳴を上げている。
#2 3月2日(月)配信
トヨタや三菱商事が日本最大の農業商社「全農」の座を脅かす理由
売上高6兆円の農業商社「JA全農」の地位が脅かされている。トヨタ自動車や三菱商事といった大企業が、新進気鋭の有力農家やIT企業などとタッグを組み“農業界のプラットフォーマー”の座を虎視眈々と狙っているのだ。日本の農業産出額は約9兆円。スーパーや外食店などを含めた食品の最終消費額は76兆円に上る。JAグループに代わり農業界の主役に躍り出る企業の「76兆円市場」争奪戦の現場を追った。
#3-1 3月3日(火)配信
全農幹部暴行事件をもみ消した「JAグループのドン」45万票国会議員
JAグループのガバナンスの欠如が端的に露呈した事件が、人知れず発生していた。JAグループの最高権力者として君臨してきた山田俊男参院議員が自民党本部内で全農幹部に暴行を働いていたのだ。暴行事件の全貌と2度にわたる隠蔽工作の手口を暴く。
#3-2 3月3日(火)配信
「私は山田としお参院議員に殴られた」JA全農元幹部が動画で実名告発!
自民党本部で起きた前代未聞の暴行事件――。その被害者本人が動画で「実名告発」した。JAグループの最高権力者として君臨してきた山田俊男参議院議員。同氏が自民党本部で起こした暴行事件の隠蔽問題について、その全貌を暴く。
#4 3月3日(火)配信
農林中金とJA全中が主導権争い、火種は農中の余剰600人の農協派遣
JAグループを牛耳ってきた“政治組織”JA全中が解体されて以降、農協中央会の凋落は目を覆うばかりだ。その一方、農協への影響力を強めているのが農林中央金庫である。600人の職員を地域農協などに派遣し、中央会の存在理由となってきた農協の経営指導の領域を侵し始めた。
#5 3月3日(火)配信
農水省次官レース終盤戦、官僚が与党農林族を牛耳る「畜産閥」に忖度ざんまい
かつて農政には、農協、自民党農林族、農水省が既得権益を確保する「農政トライアングル」が存在した。その一角を占めた農協は政治力を落としたが、残りの二つは強かに利権を守り、勢力を伸ばしてさえいる。農水省の人事権を握った農林族の首領に忖度する農水官僚の体たらくは、あまり知られていない。
#6 3月4日(水)配信
農家1600人が選ぶ「JA支持率ランキング」2〜4位が石川県、1位は?
本編集部の恒例企画、農家が選ぶ「JA支持率ランキング」を今年も発表する。2~4位は石川県の農協が独占した。首位は、減農薬・無農薬栽培のコメを高値で販売して農家の支持を集める関西の農協だった。その他、今年は野菜の販売力で名をはせる農協など、個性派JAが多くランクインした。
#7 3月5日(木)配信
新型コロナが日本の食卓直撃!外食・小売り「中国依存」の深刻
新型肺炎は「ニッポンの食卓」までも脅かしつつある。タマネギやニンジン、ネギなど中国産野菜は軒並み輸入量を減らしており、食品メーカーや外食・小売りチェーンがてんやわんやの騒ぎになっているのだ。日本の「農・食」業界がいかに中国に依存しているかが、改めて浮き彫りになった格好だ。
#8 3月6日(金)配信
農業が「伸びる県・沈む県」ランキング、自治体行政マン・農政課必見!
都道府県や市町村の農業予算が削減傾向にあり、地方自治体の農業振興部や農政課などの重要性はますます高まっている。しかし、予算ばかりでなく職員も削られる中、「地方の農政格差」が拡大している。ダイヤモンド編集部が実施した「担い手農家アンケート」の回答者からの評価と農業振興の実績から、47都道府県と市町村のランキングを作成した。
#9 3月7日(土)配信
福井の“反逆児”農協組合長が明かす「JA存続の秘訣」
全国の農協関係者が注目する“闘う農協”が福井県にある。福井県内の他の全農協が合併する中、単独で生きる道を選んだJA越前たけふだ。冨田隆組合長は、「(マイナス金利の影響などで)金融事業の利益が1億~1億5000万円減るかもしれない」と悲観的な予測をしているが、それでも農協の経営が成り立つ戦略を策定し、実行に移してきた。門外不出の「生き残りの秘訣」を聞いた。
特集と同時スタートの連載『JA赤字危険度ランキング』の各都道府県の記事はこちら | ||||
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