プラットフォームへの展開から
ブランドビジネスの本来回帰へ

 ナイキがアマゾンから決別した今回の出来事は、今後のビジネスモデルについて示唆的だと北村氏は指摘する。

「ここ数年で急激に発展したのは、アマゾンや楽天、ゾゾタウンなどのプラットフォームビジネス。ブランド側からすれば、短中期的な売り上げが見込めるため参加する企業も多かった。しかし、そのプラットフォームビジネスによって、皮肉にもブランドビジネスの本来のあり方が見直されるようになってきたのです」

 ブランドには出所表示、品質保証、広告宣伝の3つの機能が備わっている。ナイキやルイ・ヴィトンなど有名ブランドは、これらの機能による「ブランド力」のおかげで価格競争に左右されない。また、消費者も信頼して高い金額を払い商品を購入するのである。これがブランドビジネスの基本的な姿だ。

 しかし、模造品がはびこるアマゾンや値引きが横行するプラットフォームにブランドの商品があると、おのずとその機能や存在意義は損なわれていく。ブランドビジネスモデルが成り立たなくなるのだ。

 同様のケースがゾゾタウンの「ZOZOARIGATO」キャンペーンだ。過剰な値引きキャンペーンによってブランド価値が損なわれると考えた「オンワード」「ミキハウス」「4℃」などの有名ブランドが、次々とゾゾタウンから撤退したのも同様の理由だろう。

「現在、消費者(Consumer)に直接商品を販売する仕組みであるD2C(Direct to Consumer)のムーブメントが広がっています。他社を介さず、自社のECサイトなどで販売する仕組みです。特にアパレル業界は、顧客情報を利用したプロモーションや、商品に販促物を同封するなどして顧客を獲得してきました。Amazonや楽天のようなプラットフォームを通すと顧客情報も提供されず、販促物も同封できない。ネットも発達し、自社サイトで販売、プロモーションができるのに、『なぜアマゾンを通す必要があるのか?』という疑問が生じるのは必然です」

 実際、ナイキは自社サイトとアプリに投資を行っている。国内総合アパレルTSIも自社ブランドサイトの通販に力を入れ、ビームスも直営サイトを全面リニューアルするなど、ブランド力のある企業は独自サイトを拡充させているのだ。