電通vs博報堂。ヤマト運輸vs佐川急便。アップルvsアマゾンetc.
有名企業の決算書を徹底分析! 「儲かっている」のはどっちだ?
本連載は、誰もが知っている有名企業の決算書を対比させることで、「仕事に効く会計知識」と「経営分析の基本」を一気に学ぶものだ。著者は、「監査法人」「証券会社」「ベンチャー企業」「会計コンサル」、4つの立場で「会計」に携わった経験を持つ川口宏之氏。発売4日で重版が決まった『経営や会計のことはよくわかりませんが、儲かっている会社を教えてください!』の著者でもある。
アマゾンの「儲けの秘密」に迫る
GAFAと呼ばれる米国のIT企業、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社は、経済全体にも大きなインパクトを与え、その勢力は衰えをまったく見せず、ますます巨大化しています。その成長力の源はどこにあるのでしょうか。
本日は巨大ネットショップのアマゾンを分析します。
先日の記事でアップルの強さを支える「フリー・キャッシュ・フロー」と「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」の話をしました。
前回記事:アップルは「10日分の在庫」しか持たない、だから儲かる
それにならって、アマゾンの「フリー・キャッシュ・フロー」と「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」を見ていきましょう。
まず下図を見てください。アマゾンの決算書を翻訳したものです。
アマゾンの「フリー・キャッシュ・フロー」は、183億ドル(約2兆円)。アップルには及びませんが、これも驚異的な数値です。
アマゾンのキャッシュ・コンバージョン・サイクルは、マイナス28日となっています。アップルほどではありませんが、一般的な水準と比べればかなり優秀です。下図を見てください。
意外なのが、棚卸資産回転期間が44日しかないことです。