目先の利益とブランドイメージ
選択を迫られるブランド

 北村氏は「ブランド企業の今後は『ビジネス・エシックス』がカギとなる」と話す。
 
「今まではコンプライアンスやCSRなどが叫ばれてきましたが、これからは『ビジネス・エシックス(企業倫理)』が企業にとってキーワードになると思います。エシックスは営利よりも『ブランドかくあるべし』という崇高なもの。そうしたエシックスを貫徹した企業が、社会の信頼や認知を受けて100年企業となっていくでしょう」

 アマゾンによる売り上げを捨ててまでブランドイメージを守ったナイキは、自社のビジネス・エシックスにのっとったということだ。

「そういう意味で、今回ナイキは多くのファンの心をわしづかみにしたと思います。ファンにとっては『ナイキ、アッパレ』という心持ちでしょう。ナイキからすれば、『アマゾンで買う客は、うちの客じゃない』ということです。ブランドビジネスは消費者を選別することでもあります。ナイキは、そのような覚悟を決めたのでしょう」

 今後、ナイキに追随してアマゾンから撤退するブランドは増えるのだろうか。北村氏は「残るも離れるも、どちらが正しいとは言えない」と前置きしつつ、展望を語った。

「アマゾンなどプラットフォームに残って短中期の利益を上げるのもひとつの選択。それとも、目先の利益を捨ててブランドの矜持を保つか。どちらも間違っているとはいえません。ブランドは今まさに、『売り上げか、エシックスか』というジレンマと戦っているんです。ただ、個人的にはゾゾ離れが起きた“前夜”と同じような空気を感じていますね」

 隆盛を誇ってきたプラットフォームビジネスのほころびが徐々にあらわになっている。この流れに我々消費者も無関心ではいられないだろう。