商品相場がようやく調整され、豪ドルやNZドルなど商品輸出国通貨が反落した。次いで、インフレ懸念がやや後退し、景気・金利見通しが下方修正されたユーロなど欧州通貨が下落。当欄で数ヵ月前から警報を発してきた展開だ。
ただし円はドルに対してまだ安い。「崖の上の」豪ドルやユーロは下落余地が大きい。これらが落ちるとドルは相対的に浮上し、つられて円も110円台に達した。しかしこのドル高は米国の情勢改善による自立反発ではない。円から見るとドルもまだ崖の縁にいる。
商品調整後の情勢を、金利・株価・為替の相互作用から整理しよう。米国経済の底入れは早くても来年半ばだろう。米景気下降局面では、金利と為替の動向がきれいに相関しやすい。図1で市場が織り込む1年後の日米政策金利格差とドル/円は密接に連動する。
日本は超低金利で変動余地が乏しいため、この予想金利格差の変化の大半は米国金利からのものだ。図2は米国の予想政策金利と実際の政策金利。米国で景気見通しが悪化し、金利が低下するほど、ドル安・円高になっていく。