――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター
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米大統領選の民主党候補者指名を争うバーニー・サンダース上院議員は、2月29日のサウスカロライナ州予備選では苦戦したものの、急速に勢いを増している。これにより米企業はかつて思いもよらなかった事態に直面している。長年にわたり資本主義と大企業を声高に批判してきた人物が、世界で最も影響力を持つ政治家にもうすぐなる可能性があることだ。
現・元企業経営者やアナリストらは、そうした可能性を懸念や懐疑心、不信感が入り交じった感情でみている。ほとんどの人たちは、自称「民主社会主義者」で無所属のバーモント州選出上院議員のサンダース氏が、11月の本選でドナルド・トランプ大統領に勝てる可能性があるとは思っていない。たとえ勝てても、同氏の最も大胆な構想を実施することはできないか、実施しないとみている。
彼らが間違っていた場合、一部は存続の危機に迫られる。ほとんどの企業にとって緊急対策は「議会」の一語に要約される。ヘルスケア会社は共和党が過半数を占める上院が、民間保険を禁じることになる「メディケア・フォー・オール(国民皆保険)」を阻止すると想定している。