『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』の著者で、東大卒プロゲーマーのときど氏と、教育改革実践家で『100万人に1人の存在になる方法ーー不透明な未来を生き延びるための人生戦略』の著者である藤原和博氏。年齢の差はありながらも「東大卒」そして「東大らしくないキャリアを選んだ」ことが、二人の共通点だ。自身の経験をもとに、受験を勝ち抜くために必要なスキルや、東大生について思うことをそれぞれ語ってもらった(構成:小沢あや)。

「東大卒」を生かして活躍する人、ダメになる人の決定的な違い

なぜ僕らは東大を目指したのか?

――お二人が東大を目指したきっかけは何だったのですか?

ときど 僕の場合は、父親が東大に落ちてるんです。それで、幼いころから彼に「東大がいかにすごいところか」を繰り返し刷り込まれていたのが、大きかったですね。「へえ、東大ってどんなところなんだろう?」と純粋に興味がわきました。

藤原 僕は、東京大学が「大学受験の頂点」だったから志望しました。特別経済に興味があったわけではないんだけど、比較的入りやすかった文科二類(経済学部)を狙ったんです。
でも、高3でうっかり理系クラスを選択してしまって……。生物や物理が苦手だということに気が付いて、高校3年生の夏休みにあわてて文系に転向したんです。

理系クラスだったから、数Ⅲの授業が週7コマもあったけど、先生に「授業は出席しますが、僕は自習させてください」と伝えました。3年でやる日本史を選択したら間に合わないから、1、2年でやった地理と世界史を頭に叩き込みました。

「東大卒」を生かして活躍する人、ダメになる人の決定的な違い藤原和博(ふじはら・かずひろ)
教育改革実践家
1955年東京生まれ。1978年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。メディアファクトリーの創業も手がける。1993年よりヨーロッパ駐在、1996年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校の校長を務める。2008年から2011年、橋下徹大阪府知事ならびに大阪府教育委員会の教育政策特別顧問。2014年から佐賀県武雄市特別顧問。2016年から2018年まで奈良市立一条高等学校の校長を務めた。講演会が1500回を超える人気講師でもある。最新刊は『100万人に1人の存在になる方法ーー不透明な未来を生き延びるための人生戦略』

ときど それで合格するのがすごいですね(笑)。

藤原 正直なところ、僕の場合は「東大で何を学ぶか」ではなく「入ること」が目的になってました。そのせいで、入学後の勉強にはあまり興味が持てなくなってしまったんですよね。まだ、在学中に起業したり、イベントを主催してビジネスに繋げたりという時代でもなかったし。

ときど 「東大に受かることが目的」っていう部分は、僕も藤原先生と全く同じでした。この傾向は東大生全般に多い気がしますね。入学してから素晴らしい先生がたくさんいらっしゃることを知りましたが、受験の段階で「〇〇教授のもとでどうしても学びたいから、東大を選んだ」っていう声はほとんど聞いたことがありません。

東大生に共通の「3つの力」

――そうして受験を乗り越えてきた東大生に共通スキルは、なんだと思いますか?

藤原 僕が見てきた東大に入る子、東大卒のビジネスパーソンたちが共通して優れているのは
①コツをつかむ力
②興味があるないに関わらず、ゲームが設定されると勝とうとする性質
③素直さ

の3つの部分です。