もし僕が、「国立大卒プロゲーマー」だったら……
ときど 確かに、希少性は大事ですよね。仮に僕が「国立大卒プロゲーマー」だったら、今のように注目していただけていたか、疑問です。
実際、東大生で僕より優秀な人はたくさんいますし、プロゲーマーもトップの世界は実力差が拮抗していますが、東大卒「なのに」プロゲーマーという逆張りの肩書きで得しているなと感じることは多いです。
藤原 ときどさんは「東大卒×プロ格闘ゲーマー」に、もう一つ掛け合わせるとしたら何を選びますか?
ときど うーん……すごく難しい質問ですが…あえて言うなら、「教育・育成」ですね。僕はずっとプレイヤーでいたい気持ちが強いので、すぐに取り組めるかどうかはわからないのですが。
一方で、「僕が一人だけ強くなっても、格闘ゲーム業界が盛り上がらなくなってしまったら終わりだ」という危機感も強くあります。競技人口を増やしたり、多くの人に格闘ゲームの魅力を知ってもらうためには、新しい人に入ってきてもらうしかない。
今は毎日の練習で、若手プレイヤーと率直に意見交換をしたり、攻略法について話し合ったりすることで、お互いに成長していくことは意識しています。「教育・育成」というより、僕自身も若手から教わっている感じですね。
藤原 たとえば、歴史が長い相撲の世界だと親方システムがある。あるいは親方にならなくても、ちゃんこ料理屋さんを開いたりとか、ネクストキャリアが想像できますよね。でも、eスポーツにはまだそれがない。ときどさんが切り拓いて行くしかないよね。大学にeスポーツ学科ができるくらいに、頑張って欲しいです。