『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』の著者で、東大卒プロゲーマーのときど氏と、教育改革実践家で『100万人に1人の存在になる方法ーー不透明な未来を生き延びるための人生戦略』の著者である藤原和博氏。年齢の差はありながらも「東大卒」そして「東大らしくないキャリアを選んだ」ことが、二人の共通点だ。自身の経験をもとに、受験を勝ち抜くために必要なスキルや、東大生について思うことをそれぞれ語ってもらった(構成:小沢あや)。

「やりたいこと」よりも「希少性」のある仕事を選ぶ人が生き残る

リクルートを選んだのは「修行のため」

ときど 藤原さんは、どんな基準で最初のキャリアを選んだんですか?

藤原 僕が新卒でリクルートに入った理由は、「やりたい仕事があったから」ではありません。「修行の場」として入社しました。リクルートは「起業家精神」にあふれていて、若手もどんどんバッターボックスに立たせてもらえる風土だったからね。当時の日本企業は年功序列の風潮が今より強かったから、リクルートみたいな会社は珍しかったんです。新規事業にも積極的だし。

「やりたいこと」よりも「希少性」のある仕事を選ぶ人が生き残る藤原和博(ふじはら・かずひろ)
教育改革実践家。
1955年東京生まれ。 1978年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。メディアファクトリーの創業も手がける。1993年よりヨーロッパ駐在、1996年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校の校長を務める。2008年から2011年、橋下徹大阪府知事ならびに大阪府教育委員会の教育政策特別顧問。2014年から佐賀県武雄市特別顧問。2016年から2018年まで奈良市立一条高等学校の校長を務めた。講演会が1500回を超える人気講師でもある。 最新刊は『100万人に1人の存在になる方法ーー不透明な未来を生き延びるための人生戦略』

キャリアに悩んでいる人の多くは、「やりたいことがなくちゃいけない」と思い込んでしまうんだよね。でも何かを習得するのに「好きかどうか」は関係ない。それよりも、まずは目の前にあるものに手を出してみることが大事です。

1万時間の練習量をこなせば、誰でも「その分野で食っていけるレベル」にはなることができる。僕の場合は、リクルートで最初に配属された「営業」がそれでした。

ときど 僕は7歳で格闘ゲームを始めて、当時だいたい1日4時間くらいはやっていたので、14、15歳で1万時間の計算ですね。確かにこれくらいの頃に全国大会で優勝したり、「横浜のゲーセンにすごい奴がいるぞ」と言われ始めたので、納得感があります。

藤原 ときどさんの「東大卒プロゲーマー」の肩書きは、ゲームと勉強をそれぞれ1万時間以上積み重ねた結果ですよね。

一般的には1万時間の練習量をこなすだけで、誰でも100人に1人の存在にはなれる。そこに、もうひとつ、1万時間を費やして第2のキャリアを掛け合わせれば、1万人に1人。さらに1万時間を投資して第3のキャリアかけ合わせると、100分の1を3回掛けることになるので、100万人に1人。ここまで来ると、実はオリンピックのメダリスト級の希少性です。

スポーツの世界でメダリストになることは難しいけれど、3つのキャリアをかけ合わせて「キャリアの大三角形」を形作るのなら、ビジネスパーソンにだってできます。