であれば克行氏は衆院議員の地位に影響はないとはいえ、実態として総括責任者が克行氏であり、その指示で高谷容疑者が行動していたとすれば、連座制の対象になる可能性は濃厚だろう。

 デスクの持って回った言い方を聞くと、果たして克行氏は国会閉会後、大丈夫なのだろうか?という疑念さえ浮かぶ。何と言っても夫で、事実上、選挙戦の最高責任者だったのだから…。

 万が一、前法相が選挙違反でお縄にでもなったら、世界中に恥をさらすことになる。政権は世界的に信用を失墜する事態になることは必至だ。

 なぜこんなことになったのか。理由は溝手氏と安倍晋三首相との確執と言われている。

総裁としての地位揺らぐ独善

 参院選後、全国紙社会部記者時代、よく情報交換していた元閣僚公設秘書からゆっくり話を聞く機会があった。

 07年7月の参院選で安倍首相(第1次)は惨敗を喫する。その時、首相は続投に意欲を見せたが、溝手氏は「(惨敗は)首相の責任だ。(続投を)言うのは勝手だが、決まってはいない」とこき下ろした。

 12年2月に安倍首相が消費税増税関連法案への賛成と引き換えに、当時の民主党政権に衆院解散を迫った際も、記者会見で「もう過去の人」と言い放った。

「オボッチャマ君は独裁者だから、批判を許さないんだよ。あの下品なヤジを見れば分かるでしょ。自民党総裁が、国会でヤジ・不規則発言をするなんて、恥だよ」

 自民党本部がある「平河町」では「総理大臣・首相」ではなく、「自民党総裁」が最高責任者であり、トップだ。現在も自民党員である元秘書は、その総裁を「恥」と言い切った。

 元秘書は「首相の溝手氏憎しは具現化した」とも語った。事実、参院選前に案里氏と克行氏が支部長の自民党支部に溝手氏の10倍の支援金1億5000万円もの「聞いたことがない」(同秘書)ほどの巨額選挙資金が投入されたのだ。

 首相自身、1月27日の衆院予算委員会で事実関係を認め「何の問題もないと認識している。個別の件は承知していない」と説明。

 その上で「溝手氏は知名度があり、新人は知名度を上げなければいけないディスアドバンテージ(不利)をどうするかだった」と主張した。