この点と密接に関係しているのが、「取引金融機関の多さ」、そして「粉飾していた期間の長さ」だ。主だった企業だけでも表のとおりとなっている(表)。

 中堅クラスであっても取引金融機関の数は10以下がほとんどだが、ふたを開けてみると20を超える金融機関から融資を受けていたケースが大半を占める。前述のAIコーポレーションのように50を超える異常な事例もある。また粉飾を行っていた期間も、10年を超えるケースが多い。事務機器や和洋紙の卸事業を手がけ、先日倒産した「玉屋」(島根県)も30年以上にわたり粉飾を行っていた。

 裏を返せば、これらの企業は昔から経営に変調をきたしており、これまで、いつ倒産してもおかしくない状態だったともいえるだろう。いったいなぜ、これほどの長期にわたり粉飾を続けることができたのだろうか。

“粉飾”にはメリットがたくさん!?
社長一人で手を染めるケースも

 そのカギは、企業が意図的な粉飾に走る理由を考えるとわかりやすい。そもそも粉飾企業が増加しているのは、粉飾決算に「メリット」があるからだ。

 通常であれば正しい決算書を出すのが当然だが、業績が大幅に悪化した企業の経営者は正しい決算書を対外的に出すことにより、金融機関との関係が悪化するのを懸念する。連続赤字や債務超過であったりすればなおのことだろう。

 資金の出し手である金融機関としても、業績や財務内容など会社の成績表が良いに越したことはない。そこのチェックさえくぐり抜ければ、融資を引き出せるとの思いにとらわれてしまう。

 本来、粉飾は発覚した際に、金融機関や取引先との信頼関係の破綻につながり、企業経営に致命的なダメージを与えることになる。しかし、ばれずに粉飾した決算書によって金融機関からの融資を得られれば、急場をしのぐことができる。「次に取り返せばいい」と思い、メリットとデメリットをてんびんにかけて粉飾に走る企業経営者が多かったということだ。