未開拓層を切り開く
「コラボ商品」

エヴァンゲリオン公式プロジェクト「RADIO EVA」とのコラボ
エヴァンゲリオン公式プロジェクト「RADIO EVA」とコラボ(イメージ) 提供:伊藤忠商事

 FILAが若年層にアプローチしていくうえでの起爆剤の1つとなったのが、「コラボ商品」だ。人気ブランド、セレクトショップ、モデル、キャラクターなどと共同で商品を作る。そうすることで、自然と新たな顧客層の関心を集め、ブランドの認知拡大につながるのだ。

 実際、アパレルブランドが小売店やセレクトショップとコラボして「限定商品」を作るケースは少なくない。しかし当たり前のことだが、やみくもにオーダーを受けて商品開発していては、ブランドイメージのブレにつながりかねない。「どことコラボするか」が重要だ。

 コラボ相手のファン層が、ブランドのアプローチしたい対象と一致するかどうかはもちろんだが、それだけではない。「どのようなファン層がいて、コラボ商品に対してSNSなどでどのように発信してくれるだろうか」(村岡氏)ということも検討材料になる。こうした戦略の背景には、SNSの浸透により買い手の発信力がブランドの人気やトレンドに大きな影響を与えるようになったことがある。

 コラボ商品を通じて新たなタッチポイントを着実に増やし続けたFILAは、これに伴い販路も若者向けセレクトショップや専門店中心にシフトしていった。2018年頃からは、ダッドシューズ(底が厚く大きなシルエットが特徴のスニーカー)ブームをけん引した「ディスラプター2」の大ヒットという追い風もあり、業績も好調を維持。FILA事業の売り上げは、2014年に200億円規模だったのが、2019年には310億円にまで成長した。

国内アパレル市場
「個別最適化」に勝算あり

 流通ストラテジストの小島健輔氏は、好調なアパレルブランドは「流通戦略の転換が奏功している」と指摘する。

 従来、百貨店やセレクトショップなど小売店に商品を卸して販売するアパレルブランドでは、問屋経由で広く小売店に商品を卸すのが主流だった。しかしこの手法では、広い客層に一気に認知拡大を見込むことができる一方、人気が落ち始めると歯止めが利かない。
編集部注※ここではSPA形態のアパレルブランドを除く