前回の本欄では「これで霧が晴れたというには早過ぎる」と述べ、上昇した株価に警鐘を鳴らした。 その後、新型コロナウイルスの感染がイタリアや米国にまで広がったことで、日経平均株価は2万円を割る水準にまで急落した。

 現在、コロナウイルスの感染拡大は最大の不透明要因。中国以外での感染が進み、経済的ダメージも拡大する可能性は排除できない。

 コロナウイルスの先行きは中国での新規感染者数が重要指標と考えている。これは、中国が先行事例になっているためで、一時1日当たり4000~5000人のペースだった新規感染者数が本稿執筆時点で同100人以下に低下している点は注目に値する。

 中国では感染中の患者数(感染者数から回復もしくは死亡者数を引いた数)は2月中旬には5万7000人を超えていた。それが3月に入ると2万人強の水準まで低下している。

 この低下には3000人を超える死亡者数も含まれているが、回復者数も5万5000人を超えている。現時点で中国では工場労働者が現場に戻りつつある。この状態で新規感染者数が低下してゆけば、中国はコロナウイルスの封じ込めに成功したといえるだろう。