そんな中、今年1月に中国・武漢で新型コロナウイルスを原因とする肺炎が流行。その脅威は欧米など世界各地に広がり、3月11日には世界保健機関(WHO)が「パンデミック」を宣言。WHOによれば、11日時点で感染者数は114カ国で11万8000人を超え、4291人が亡くなったという。

 日本では死者数12人(11日時点、厚生労働省発表)と比較的少ないが、組織委内部では、「もし、日本でこの先終息しても、感染がまん延している他の国から選手が日本に入国できない可能性が考えられる。強豪国の選手が参加しない五輪が盛り上がるとは到底思えない」との懸念も生じている。

延期・中止を決めるのはあくまでIOC
「早く決めれば500億~1000億円削減」の見方も

 ただし、組織委に延期や中止の決定権はない。あくまでIOCの一存で決定され、日本政府も手出しができない。東京で開催するはずだったマラソン競技をIOCが昨年10月に突然、札幌開催に変更したように、今後、延期や中止の決定を、IOCが突然下す可能性が考えられる。

 こうした情勢を踏まえて組織委は、表面上のアナウンスに反して、IOCが延期や中止を決定した場合の、競技施設の運営や人員などの体制、発生し得るコストについて、内部でひそかに検討を始めたというわけだ。