勢いを増す「湾岸系」と「帰国生」 

 前ページの写真キャプションにもあるように、かえつ有明は2020年入試で出願者数を大きく伸ばした学校の一つである。千代田区富士見から江東区東雲に移転、校名変更・共学化したのは2006年のこと。東京湾岸で新たなスタートを切った先駆的な存在だ。

 かえつ有明では、「豊洲」「新浦安」「大井町」といった海沿いのエリアからの受験生が年々増加傾向にあるという。東京湾岸にタワーマンションが林立するようになったのは2000年代に入ってからで、タワマン新住民がエリア内にある中高一貫校を志望するようになってきている。

 17年に板橋区坂下から江東区豊洲に移転してきた芝浦工業大学附属は中高一貫男子校である。2017年から高校が、21年からは中学も共学化する。こちらも出願者・受験者ともに過去最多となり、第1回入試出願者数が前年比+30%、第一志望者入試エントリーが+40%超と大人気となっている。

 言語技術・コンピューター言語・英語コミュニケーションという3つの言語教育でグローバルエンジニアの育成を目指す「オンリーワンの教育」を標榜しており、系列大学のキャンパスも豊洲や芝浦などにある湾岸系だ。

 20年に女子校から共学化し、校名変更した大井町にある品川翔英も、湾岸系の恩恵を受けた学校の一つだろう。前年までとは打って変わって、45人の新入生を迎えることになった。実に5倍である。

 かえつ有明のもう一つの特徴は生徒の多様性にある。それは668人が出願した国際生入試に顕著で、新入生も4人に1人が国際生(帰国生)となっている。ここ数年は男女別クラスだったが、2020年から12年度以来の6年間男女共学クラス編成となる。各クラスに混合される国際生から受ける刺激もあって、中3~高2の間に1学期間~半年以内あるいは1年間の海外留学を志す一般生が年々増加、各学年在籍数の1割を超えるほどという。

 新学習指導要領で示された「学力の3要素」を体現するようなこれらの湾岸系の学校は、2021年入試でも人気となりそうだ。