新型コロナウイルスが今年に入り中国で猛威を振るい、世界のサプライチェーン(部品供給網)が混乱した時、すでに数年かけてスマートフォンの生産拠点をベトナムやインドに分散していた韓国サムスン電子の幹部は胸をなでおろしていた。だがその後、新型ウイルスが世界的に流行し、韓国から北米や欧州に至るまで各地で企業や学校が閉鎖される状況になると、サムスンの戦略の価値は大きく低下した。世界的に脅威が広がった場合に、生産拠点の分散がどこまで事業や市場を守ることができるのか、再考を迫られている。新型ウイルスの感染拡大はサムスンに2つの課題を突き付けた。「ギャラクシー」など高額の新型スマホに対する需要の低下と、都市閉鎖や隔離措置の影響から立ち直り始めたばかりのアジアのサプライチェーンで、主要部品の入手が困難な状況がなお続きかねないことだ。