今後の
世界景気の展開予想

 今後の世界の景気を考えたとき、最も重要なことは新型コロナウイルスの影響がどの程度長引くかだ。収束に時間がかかるのであれば、世界全体で動線の寸断が深刻化するだろう。それが、需要と供給を一段と停滞させ、世界経済は縮小均衡に向かう可能性がある。

 米国の著名経済学者であるラリー・サマーズ氏は、米国経済が長期の停滞に陥る確率が高まっていると警鐘を鳴らしている。これまでグローバル化とともに成長してきた多くの企業を取り巻く不確定要素は増大しつつある。すでに、737MAXの運航停止から業績が悪化してきた米ボーイングは、新型コロナウイルスによる世界的な航空機需要の落ち込みを受け、米国政府などに資金支援を要請した。米国政府が総額1兆ドル(約107兆円)の景気刺激策を検討し始めるなど、世界経済は風雲急を告げている。

 足元の感染状況を見ると、中国は不透明な部分はあるものの最悪期は脱したとみられる。しかし、その他の国では感染がどう収束するかが読めない。イタリアは依然として状況が厳しい。感染対策の為に、全土封鎖、海外への渡航禁止、さらには証券市場の休場などを決定する国も出始めた。動線が寸断された状況が続くと、グローバル化に支えられてきた各国の経済には、かなりの下押し圧力がかかるだろう。

 重要なポイントは、過酷な状況の中で世界各国が協調体制を確立できるか否かだ。金融政策が限界を迎えた中、主要国を中心に各国が協調して積極的な財政政策を推進することは、防疫、経済の安定に欠かせない。同時に、スポーツやイベントの自粛などをどう解除するかも、各国の協調が必要だ。特に、オリンピックの開催を控えるわが国への影響は大きい。

 近年の世界経済は米国を中心とする中央銀行の低金利政策に支えられてきた。新型コロナウイルスに対応しつつ経済の安定を目指すにあたって、今後は政治の重要性が高まる。各国の政治家は、国内外の多様な利害を調整しつつ移動の制限や防疫対策を通して人々の安心感を高めなければならない。そのために、主要国を中心に世界各国が連携して財政出動を進める必要性は高まっている。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)