癌(がん)を単なる“生活習慣病”とみなすかどうかは難しいが、厚生労働省などの統計では癌が生活習慣病の中に入れられていることも多い。

 つまり、先進国の医療の大半は生活習慣病対策なのである。だから、生活者の多くが「病気は自己責任」と考えるのも無理はない。

 実際に、医療費の推計でも感染症対策費は非常に少ない。

 平成28年度の国民医療費の概況によれば、ウイルス性肝炎を除けば8000億円強で、全体の約2.7パーセントしか使われていない。つまり“生活者の意識”としても、国民皆保険制度下で医師を受診する場合、本当は非常に深い意味があることなのだが、「病気≒生活習慣病」「生活習慣病≒自己責任」と考えてしまう人が多いのだ。

 従って今回も、「感染して病気になることは自己責任」という構図ができてしまっているのではないかと思われる。

 難しいのは、今回の新型コロナウイルスによる肺炎が、先進国ではほぼ顧みられなくなった病気(感染症)だということである。もちろん、顧みられないというのは、厚労省とか政策担当者のことを言っているのではない。

 ここで言っているのは「国民の意識」のことである。

感染症は生活習慣病と
分けて考えるべき

 筆者はビジネススクールで医療経営や医療経済の分野も教えているので、少しここで経済学に知恵を借りてみたいと思う。