「コロナうつ」に陥らないために必要なのは“不安”と“情報”の関係を知ること 自衛隊メンタル教官に聞いた写真はイメージです Photo:PIXTA

 世界中で感染が止まらない、新型コロナウイルス。日本でも、小中高の全国一斉休校や、春季高校野球の中止決定など、収束の見えないウイルスに不安が広がり、ネットでは「コロナうつ」という言葉まで出てきている。

 不安と正しく向き合うには、不安と情報の関係を知ることが重要だと話すのは下園壮太さん。自衛隊で長年、メンタル教官として災害派遣など厳しいストレスと向き合う自衛官の心の健康を支え、『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』(朝日新書)の著書もある下園壮太氏に、対処法について話を伺った。短期集中連載(全4回)でお送りする。2回目は「不安への対処法」について。

※第1回「『コロナ・ストレス』一番辛いのは先の見えない不安… 自衛隊メンタル教官に乗り切り方を聞いた」はこちら

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不安と情報のメカニズムを知る

下園壮太下園壮太(しもぞの・そうた)/心理カウンセラー。メンタルレスキュー協会理事長。1959年、鹿児島県生まれ。防衛大学校卒業後、陸上自衛隊入隊。陸上自衛隊初の心理教官として多くのカウンセリングを経験。その後、自衛隊の衛生隊員などにメンタルヘルス、コンバットストレス(惨事ストレス)対策を教育。「自殺・事故のアフターケアチーム」のメンバーとして約300件以上の自殺や事故に関わる。2015年8月定年退官。現在はメンタルレスキュー協会でクライシスカウンセリングを広めつつ講演などを実施。『心の疲れをとる技術』『人間関係の疲れをとる技術』『50代から心を整える技術』(すべて朝日新書)、『自信がある人に変わるたった1つの方法』(朝日新聞出版)など著書多数

 第1回では、「コロナ・ストレス」の影響が楽観できない理由について紹介しました。

 今回はコロナ・ストレスの主体である「漠然とした不安」と情報の関係、そして不安への対処法についてご紹介します。

 不安という感情は、将来の危険を予測し、対処するための意欲と行動を引き起こすものです。何か不安なことがあれば、どうすれば対処できるかを考え、その対処をすると不安は落ち着きます。

 ところが、今回のコロナ・ストレスは、いろいろ気をつけるけれど、結局、何も有効な手段で対処できていないという実感を持つ人が多いようです。危険な状態にじわじわと浸食されているという感覚でしょうか。

 きちんと対処している、と少しでも感じたいために、必死に情報を探しても、これといった安心できる情報には行き当たりません。逆に不安が大きくなったりします。

 かといって何かしないと落ち着かないので、とりあえずトイレットペーパーや米、レトルト食品、栄養補助食品を買い求めてしまう。

 このような不安の高まりに対処するためには、不安と情報の関係を知っておくことが有効な対処法となります。

(1)不安は「情報量の多さ」を正しさと誤解する
 私たちには、情報に触れる「回数」や「時間の長さ」で、その情報の「正しさ」を感じてしまうという特徴があります。同じ内容のニュースを何度も見ると、いつの間にかそれが絶対に正しいことのように思いこんでしまいます。