糖尿病と感染症のリスク、新型肺炎で改めて注目
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 新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の流行で、高齢者と並び「基礎疾患」を有する人の重症化リスクが注目されている。

 早い時点で中国・武漢市から報告された入院症例138例の解析では(2月7日公開)、患者の年齢中央値は56歳(22~92歳)で、75例(54.3%)が男性だった。

 また全症例の46.4%が高血圧、糖尿病、心疾患などの合併症を一つ以上有することがわかっている。集中治療室での対応を要した重症例でも、基礎疾患ありが7割以上を占めていた。

 なぜ、基礎疾患があると重症化しやすいのだろうか。患者数が多い糖尿病で考えてみよう。

 人の体内では好中球(白血球)や単球、マクロファージと呼ばれる「免疫細胞」が24時間365日、一刻も休まず体内を循環し、外部からの侵入者(細菌やウイルス)を見つけ次第、殺傷している。

 好中球は細菌感染が生じるとほかの免疫細胞に先んじて現場に殺到。病原菌を貪食──文字通り貪り食べて代謝し、殺菌物質を放出することで身体を守っている。

 ところが糖尿病患者の体内では、この好中球の能力が低下する。具体的には、感染現場に移動するスピードが鈍る(遊走能の低下)ほか、好中球のために病原体を「食べやすく」加工してくれるオプソニン化作用が鈍り、肝心の貪食ができないなどが生じる。このため感染初期の防御がうまくいかず感染が広がってしまう。

 さらに血糖値が乱高下することで、ますます好中球の機能が低下し重症化へ突き進んでしまうのだ。

 11万8982人の1型・2型糖尿病患者のデータを解析したオーストラリアの疫学調査では、追跡期間中(中央値6.7年)に、一般的な感染症や肺炎、敗血症、骨髄炎で6444人が死亡。

 一般人の感染症死リスクと比較すると、1型糖尿病で4.42倍、2型糖尿病で1.47倍という結果が報告されている。

 COVID-19の流行はしばらく続くだろう。1型、2型を問わず糖尿病の方は、普段以上に体調に気を配りつつ感染予防策と血糖コントロールを徹底しよう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)