米国の新規失業保険申請件数の急増は、新型コロナウイルスが労働市場にどれほど大きな打撃を与えるかを正確に示しているわけではない。ただ、極めて悲惨な状況になるであろうことは如実に物語っている。米労働省が26日発表した新規失業保険申請件数(21日までの週)は、前週の28万2000件から328万件に跳ね上がった。53年前に統計の収集を開始して以降、ここまでの急増は全く前例がない。失業が最も深刻化していた2009年における最悪の週でさえ、申請件数は66万5000件だった。さらに悪いことに、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた都市封鎖・営業停止措置によって先週職を失った労働者が、328万件という申請件数にすべて反映されているわけではない。州の労働当局の多くには失業保険の申請が殺到しており、申請を試みても手続きを終えることができなかった失業者がいる。すぐに失業保険の申請をしない労働者も多く、申請要件を満たしているのか定かではない人もいる。フリーランスやギグ労働者(単発や短期の仕事に従事する労働者)の大半は基準を満たしていない。ただ、上院が25日遅くに可決した2兆ドルの景気刺激策には、これを変える条項が盛り込まれており、下院でも承認され、大統領の署名が済めば、フリーランスやギグ労働者も要件を満たすことになる。