シニアのキャリアウーマン写真はイメージです Photo:PIXTA

「まだ元気なのに、隠居はもったいない」。60代に向けられるこの言葉には、どこか働き続けることを前提とした価値観がにじむ。しかし本来、仕事は人生の目的ではなく手段であるはずだ。人生後半の生き方を考える。※本稿は、パーソル総合研究所シンクタンク本部 上席主任研究員の藤井 薫『定年前後のキャリア戦略 データで読み解く60代社員のリアル』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

そもそもお金は人生の
手段であり目的ではない

「まだ元気なのに、もったいない」という言葉に込められたメッセージは、大きく分けて2通りです。ひとつは「まだ稼げるのに、もったいない」、もうひとつは「まだ活躍できるのに、もったいない」です。

「まだ稼げるのに、もったいない」は、自分の生活に直接関係がない人から言われるのならまだしも、家族から言われると「老後資金が足りないってことかな」と、少々プレッシャーを感じてしまいそうです。実際には、それほど深い意味はなく、「たくさん稼いで資産を増やすのはいいことだ」というシンプルな価値観からくる感想なのかもしれません。

 まったく老後のお金の不安がない人でも言われるでしょうし、むしろ人並み以上に稼げる人ほど、多くの人からそう言われるはずです。また、人に言われるまでもなく、自分自身がそう考えている可能性も高いのではないでしょうか。

 多くの人にとって、「たくさん稼いで資産を増やすのはいいことだ」は、価値観というような大げさなものではなく、これまであまり深く考える必要もなかった当然の話のひとつであるように思われます。