普段、経済やヘルスを取材するグローリア・リヴァ(Gloria Riva)記者に話を聞いたら、彼女は毎日、5~6回ぐらい医者や看護婦から電話で談話をもらうと話していた。

 咳をしながら彼らはリヴァ記者に一日中の出来事や病院での経験を語る。目の前で患者や同僚が死ぬこともあり、その医者や看護師たちも寂しさや疲れで心身ともに疲労困憊しているという。

 毎日午後6時には、多くのイタリア人は家の窓を開けたり、バルコニーに出て歌を歌うことが今では世界的に有名になった。賛歌はもちろん、流行歌も歌う。フィレンツェに住んでいるオペラ歌手、マウリチオ・マルキーニ(Maurizio Marchini) さんは「ネッスンドルマ」や色々なオペラの曲を歌った。そのことがソーシャルメディアで放送され、人気になった。

 しかし、政府が隔離を命じてから3週間以上が経過し、多くのイタリア人はストレスを溜めている。ローマに住む私の家族と話すと、目で見えないウイルスを怖がりながら、家に閉じこもっていることは、心身の健康を損なっているようだ。

 その一方、私が住んでいるワシントンはまだ、感染政策がイタリアほど厳しくない。おそらく多くのアメリカ人がコロナウイルスの重症度を理解したのは俳優、トム・ハンクスのおかげだと思う。3月に奥さんはオーストラリアへの旅行中に感染し、自主隔離したことを発表した。その間、米国西海岸やワシントン州などでは感染者が増加し続け、ドナルド・トランプ大統領が行動を起こすのを国民は待っていた。

 しかし、数日前まで政府と近いテレビとして知られている有力チャンネルで放送された番組では、コロナウイルスについてフェイクニュースを流し続けていた。プレゼンターたちはコロナウイルスがインフルエンザよりも危険ではない、と視聴者に力説していた。「大統領に対する政治的武器だ」と1人が話していた。

 その後、状況はゆっくりと変化し始めた。私が住んでいる首都ワシントンで最初に確認された患者は、大統領と副大統領も出席した保守党の会議に出席していたそうだ。

 今年11月には大統領選挙が控える。アメリカ人はトランプ政権を維持するか、民主党の候補者を選ぶか、投票するので、コロナウイルスは最も政治的な事件になっている。