無名の美術教師による初著書にもかかわらず、各界のオピニオンリーダーらやメディアから絶賛され、発売1ヵ月で3万部超という異例のヒット作となっている『13歳からのアート思考』。先行きが不透明な時代だからこそ知っておきたい「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、「自分なりの答え」を生み出す思考法とは? 同書より一部を抜粋してお届けする。
どこまで「常識」を脱ぎ捨てていくのか
20世紀のアートの歴史は、過去の「アートの常識」からの解放をめぐる歴史にほかなりません。
「目に映るとおりに描くこと」や「遠近法」といった従来の「あたりまえ」に気づき、そこから脱出するなかで「自分なりの答え」を生み出すという姿勢こそ、20世紀のアーティストたちに共通する特徴だといえるでしょう。
先回りしてお伝えしてしまいますが、これ以降、数回の記事で見ていくパートでは、それまでのアートが依拠していた「大きな前提の1つ」がとうとう乗り越えられることになります。
それは「美」です。
「美術」という言葉が表しているように、それまでアートというのは「目で見て美しいもの」を生み出すことであると考えられてきました。
しかし、「アートは『目で見て美しいもの』でなければならない」というのは、果たして本当でしょうか?
今回からは、「アートの『常識』ってどんなもの?」という問いについて考えをめぐらせ、あなたなりの答えを生み出してみてほしいと思います。