1990年代後半~00年代初頭のカリスマ美容師ブームも今は昔。日本の理美容市場が年々縮小している中、中国では美容業界が盛り上がりを見せている。そんな中、日本の大手美容室は中国に進出したものの、撤退も相次いでいるという。その理由について、日本と中国(上海・蘇州)に美容室を構える「DADA Hair Salon」(以下、DADA)の社長・竹村仁志氏に聞いた。(清談社 岡田光雄)

中国ではカリスマ美容師が人気
料金は日本とほぼ変わらない

美容院で髪を切る女性のイメージ日本の美容師は中国でも高い評価を受けているが、有名店でも進出して成功できるとは限らない Photo:PIXTA

 日本の理美容市場規模は、08年は2兆3139億円だったが、18年は2兆1382億円と、年々縮小している(矢野経済研究所調べ)。

 一方で、日本の美容師の技術は高く世界レベルであるといわれており、こうしたジャパンブランド志向は中国(本稿では上海と蘇州を指す)でも見受けられるという。

「中国では、SNSや業界紙などを通じて、日本の美容師やヘアスタイルが評価されています。美容師界の大御所・川島文夫さんなどの人気は相変わらず絶大です。10年ほど前までの中国のヘアスタイルのトレンドは、日本、韓国、欧米(香港経由)で成り立っていましたが、最近は日本や韓国のはやりを融合させた中国独自のヘアスタイルが生まれてくるようになりました。初恋頭(chu lian tou)というセミロングのストレートヘアや、羊毛巻(yan gmao juan)というクリクリの羊パーマなどがその典型例です」

 中国におけるサービスの提供価格も、日本とさして変わらない。

「現在、中国ローカルサロンのカット代の相場は800~1500円程度、富裕層をターゲットにした高級ヘアサロンの相場が4000~6000円程度(割引前)。在中の日本人美容師の場合だと8000~1万円となっています。ただし、中国では基本的にプリペイドカード決済が主流となっており、これを使えば50%オフなどに割引されるケースも多々あるため、実際の相場はもっと安いです」

 このように中国では美容師の価値が高まっている一方で、日本の美容室が進出に失敗した事例も少なくない。竹村氏によれば「読者モデル御用達サロンとして有名な『CARE』、木下工務店グループをバックに据えた『NOZ』、ジャスダックに上場している『Ash』をはじめ、これまで大手美容室の多くが中国に進出しては撤退を余儀なくされてきた」という。