証拠の真実性を保つために、録画が10分以上中断した場合は、その日の十数時間分のデータの全てを使わないことにするという徹底ぶりを貫いた。こうして、店舗関連の調査ビデオ1万1260時間分、レシート2万5843枚、さらに大量のWeChat(ウィーチャット)の部内者同士のチャット記録を手に入れた。

 これらの調査で、Luckin Coffeeの内情はあらゆる面で詳らかにされた。たとえば、Luckin Coffee財務報告書では、商品の平均価格は11.2元となっているが、マディ・ウォーターズ社は9.97元と主張する。客単価については、Luckin Coffeeはユーザーの63%が15元を支払ったと主張するが、マディ・ウォーターズ社は、ユーザーの39.2%が12元と結論付けた。

 Luckin Coffee財務報告書では、収入の22%はコーヒー以外の商品が稼いでいるとされているが、マディ・ウォーターズ社は6%しかないと一蹴してしまう。さらに、Luckin Coffeeの広告支出は150%水増しをしたと告発された。

Luckin Coffeeに致命傷を与え
次はどの企業に目を付けるのか

「Luckin Coffeeがコーヒーの販売数を大幅に改ざんした」というマディ・ウォーターズ社の指摘は、最も致命的な一撃となった。1店舗ずつ、1人ずつお客の数を数えて集計したデータに裏付けられたマディ・ウォーターズ社の告発と指摘に、Luckin Coffeeは抵抗するすべもなかった。

 結果として、Luckin Coffeeは22億円の架空取引と粉飾決算を認めざるを得なくなった。Luckin Coffeeを下したいま、マディ・ウォーターズ社は次にどの会社に空売りの狙いをつけているだろうか。

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)