「好きなことで生きていく」より
「嫌いなことで生きていかない」

 そんなプロ奢ラレヤー氏の著書『嫌なこと、全部やめても生きられる』(扶桑社)内では「好きなことで生きるより、嫌いなことで生きていかない」というテーマが描かれている。

「最近は好きなことで生きていこう!がブームですが、みんなが『好きなことで生きる』を追いかけすぎて、結局のところ苦労するというのがオチなんじゃないかって思ったりもします。というのも、好きなことで生きている人は、基本的に狂っている人だけだから」

“好き”で生きると決めてしまうと、人生の選択肢は途端に狭く、難易度も高くなってしまう。

「人間、好きなことの数ってそう多くありません。好きなことしかやらないと決めてしまうと、選択肢の少ない縛りプレイをしなくちゃいけない。それでお金を稼ぐともなると、実際はかなりハードです。だったら『嫌いなことで生きていかない』ほうが僕は大事なんじゃないかと思います。好きでも嫌いでもないことをさくっとやって、あとの時間で本当に好きなことをやったらいいんじゃないでしょうか」

「満員電車」や「予定を入れること」「靴下をはくこと」、プロ奢氏は自身にとっての「嫌い」からとことん遠ざかることで、今のような生き方に行きついたわけだ。とはいえ、奢られるためには必然的に相手とのアポが必須になる。「予定」が苦手とは矛盾している気も…。しかし、そこには彼なりのライフハックがあった。

「プロ奢ラレヤーという生き方は、人と予定を組むところから始まります。それを突破するために思いついたのが『仮予約制度』。僕に奢りたい人と約束をするときはひとまず『仮予約』状態にしておく。いつでも心理的にドタキャンできる状態にしておくことで、自分の中で予定じゃなくなる=苦痛じゃなくなるわけです。こうやって、ちょっと捉え方を変化させるだけでも日々のストレスはだいぶ緩和される。不自由の中でも自由になれる領域を探し出せば、『嫌なこと』をだいぶ減らすことができます」

「好きなもの」に近づいて生きようとするよりも、できるだけ「嫌いなもの」から離れて生きることを意識するほうが、人生は随分ラクなものになるのかもしれない。