白いご飯がないと物足りない人には少し厳しい話かもしれない。先日、英医学雑誌の「BMJ」に「白米の消費量が増えるほど2型糖尿病の発症リスクが上昇する」という結果が掲載された。
同報告は日本、中国、米国、オーストラリアで行われた観察研究の結果を総合したもの。当然日本人と中国人の白米消費量は多く、ご飯として1日に平均3、4膳は食べている。これに、せいぜい週に1、2膳の西洋人を含めて解析した結果、消費量が最も少ないグループに比べ、最も多いグループは2型糖尿病の発症率が1.27倍に増加。特にアジア人では1.55倍に上昇することがわかった。量との関連では、ご飯が1膳増えるごとに2型糖尿病発症リスクも増え、「おかわり」の代償は男性で1.08倍、女性では1.46倍だった。
基になった日本の調査研究は、国立国際医療研究センターの南里明子氏らによるもの。同氏らの研究では、1日に茶わんで5膳以上(560~700グラム──ちなみに、某牛丼屋のご飯量は250グラムである)のご飯を食べる男性は、3膳未満(0~315グラム)の男性より1.16倍、2型糖尿病を発症しやすくなるという。ただし、毎日1時間以上しっかり運動していればリスクは相殺されるそうで、仕事で身体を酷使している場合はあまり心配がない。事務職系や社用車利用の営業職の人は、ご飯量の節制かエクササイズが必要だ。
この数年、白米などの炭水化物、つまり「糖質」が注目されている。食後の高血糖が糖尿病の進行を加速し、心血管系の合併症を引き起こすことがわかったためで、食直後から血糖値を上げる「糖質」が危険視されるようになったのだ。
とはいえ、米食文化を育んできた国の住民としては、素直に納得し難い話ではある。「白いご飯がないとダメ」ならば、血糖の上昇を抑える食物繊維とマグネシウムを豊富に含む野菜や大豆製品を食べてからご飯に取りかかること。適度な酒と青菜にぬた、冷ややっこを腹に収めた後で軽くお茶漬け、という伝統的な「親父の晩酌」は案外、理にかなっている。もちろん、夜食でラーメンは論外です。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)