コロナ終息後は世界経済が大きく変わり、3つのコストアップに襲われる可能性がある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

14世紀以降のパンデミック事例
観察された2つの経済変化

 コロナ後の社会は中長期的にどう変化するのか。それを知るには過去に学ぶのが近道だ。先月発表された米サンフランシスコ連銀(FRBSF)の研究論文「Longer-Run Economic Consequences of Pandemics」によると、14世紀以降の10万人以上の死者をもたらした15のパンデミック(感染症の世界的な大流行)事例では、以下2点が観察されたという。

 観察された1つ目は、パンデミックが発生してから20年後にかけて、実質自然利子率が1.5%ほど低下したことだ。自然利子率は投資収益率にも連動するため、投資リターンが1.5%低下したと類推することも可能だろう。FRBSFの論文は、実質自然利子率が低下した理由として、人々が設備投資に慎重になったり、生活防衛のため貯蓄率を増やしたりした点を指摘している。

 ただ、同論文ではパンデミックの影響が残る期間として、今とは衛生環境が大きく異なる事例(たとえば1899 年に発生した第6次コレラ世界大流行は、終息までに24年間を要した)を含めているため、あくまでも参考データに留めたい。

 観察された2つ目は、パンデミック発生後の数十年にわたり、賃金が5%ほど上昇したことだ。同論文は、人的被害が拡大し、労働市場で人手不足が生じたことが原因と指摘している。この観察事例でも、14世紀に発生した黒死病(欧州の人口の4分の1が損なわれたとも言われる)も含まれており、5%という数値を現在にそのまま当てはめることはできない。