足もとで起きているような円高・株安に襲われたら、これまで続けてきた積立投資は見直すべきなのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 新型コロナウイルスの感染拡大が金融市場を震撼させている。3月3日に米連邦準備制度理事会(FRB)が0.5%の緊急利下げに踏み切ったが、市場の動揺が収まる気配は一向にない。NY株式市場は連日、1000ドル単位の乱高下となり、ドル円相場は一時101円台の円高を付け、日経平均株価は2万円割れとなっている(3月9日午前時点)。

 近年は、長期積立分散投資の重要性が広く認識されるようになり、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAの口座数が増加している。しかし、今のように不確実性が高い状況に直面し、このまま積立投資を続けて良いか、不安を感じる方は少なくないと推察する。高リスクを覚悟で、株式100%の積立投資を行っている方はなおさらだ。

 本稿ではそうした不安を念頭に、相場下落時に積立投資を中断する効果を考える。検討に際しては、オプション価格の決定などに使われる二項モデルを用いたシミュレーション結果を中心に、なるべく主観的な相場観を交えずに分析を試みる。

二項モデルで考える
3つの戦略と結果

 二項モデルとは、値動きが「上昇か下落か」の二つしかない資産を想定し、その値動きが持つ効果や特性を分析する手法である。ここでは、1年後に50%ずつの確率で、価格が+20%上昇、もしくは▲10%下落する資産を想定する。この資産の期待収益率は5%(=20%×0.5+▲10%×0.5)、リスク(リターンの標準偏差)は15%となる。

 その上で、100万円の投資元本を10年間にわたり、以下3つの戦略に沿って積立投資する。

(1)毎年初めに10万円ずつを機械的に10年間積立投資する(標準的なドルコスト平均法)。
(2)毎年初めに10万円を投資し、2年目以降は、前年の価格が上昇した場合は追加で10万円投資するが、下落した場合は追加投資を見合わせる(順張り型の累積投資法)。
(3)毎年初めに10万円投資し、2年目以降は、前年の価格が下落した場合は追加で10万円投資するが、上昇した場合は追加投資を見合わせる(逆張り型の累積投資法)。