高齢になるほどCOVID-19は重症化しやすい
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による重症化リスクや死亡リスクは、高齢になるほど高まるとする研究結果を、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のNeil Ferguson氏らが「The Lancet Infectious Diseases」3月30日オンライン版に発表した。
中国本土における4万4000人以上の感染例のデータに基づくこの解析から、COVID-19症例の入院率は20歳代では約1%だが、50歳代では8.2%となり、80歳以上では18.4%に達することが示された。また、同症例の致死率は、20歳代の0.03%に対して80歳以上では7.8%と推定されたという。
今回のパンデミック発生当初、世界保健機関(WHO)はCOVID-19症例の致死率は3.4%であると発表していた。しかし、Ferguson氏らによれば、この推計値は、症状が重く治療が必要と診断された症例のみに基づくもので、軽症や無症状の感染者や検査を受けていない症例は含まれていないという。
そこで、Ferguson氏らは今回、広範な対象で検査が行われたクルーズ船での集団感染者や武漢からの帰国者のデータを解析し、その結果をより幅広い人口に当てはめた。また、中国本土における4万4672人の診断確定例の死亡統計を調べた。
その結果、年代別の入院率は10歳未満が0%、10歳代が0.04%、20歳代が1%、30歳代が3.4%、40歳代が4.3%、50歳代が8.2%、60歳代が11.8%、70歳代が16.6%、80歳以上が18.4%と年齢が高まるに伴い上昇した。乳児や幼児は、COVID-19による重症化リスクや死亡リスクは極めて低かった。