バンコク中心部のシーロム地区での水掛け祭りの様子
バンコク中心部のシーロム地区での水掛け祭りの様子。多くの人が集まり水を掛け合う(写真は2017年。撮影は小堀晋一氏)

水鉄砲やバケツを使って豪快に水を掛け合い、新年(旧正月)を祝うタイの「ソンクラーン」。日本語で単純に「水掛け祭り」とも呼ばれるそれは、隣国のミャンマーやラオスにも存在し、1年のうちで最も盛大に行われる酷暑の年中行事だ。日本からの観光者も多く、期間中に家族で旅行に出掛けるタイ人も少なくないことから、誰もが待ち焦がれる一斉休暇の時にも当たる。ところが今年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、いち早くイベントの開催が見送りとなり、人々は大いに驚き大いに落胆した。バンコク首都庁によると、見送りは史上初めてとのこと。だが、政府の誤算もあり、国民の間では不満が高まる恐れがある。(在バンコクジャーナリスト 小堀晋一)

新型コロナ対策で
新年の全行事を延期

「あくまで延期であって、中止ではない」

 3月17日の閣議後の記者会見。新型コロナウイルス対策を主管するアヌティン副首相兼保健相は、顎にマスクを掛けたままの姿勢でこう強調した。

 出席した地元紙の記者によれば、口から飛沫が飛び散らんほどの勢いで話す姿に「(水掛け祭りの)中止はあってはならない」という政権の意思を強く感じたという。