欧米における新型肺炎感染拡大をよりどころに混乱したグローバル市場であったが、4月に入って少しずつ落ち着きを取り戻している。
3月の混乱の象徴ともいえたのが米国10年債利回りの上昇であり、FRB(米連邦準備制度理事会)による大幅な利下げで0.5%台まで低下した同利回りがわずか1週間程度で1.2%程度まで上昇するような動きも見られた。
金利リスクを敬遠した投資家が期間の長い債券を売却したなどの見解が広がったが、米国市場は一時株安と債券安が同時に進行するような危険な状況に陥った。
これに即座に対応したのがFRBであり、3月23日には事実上無制限の国債買い入れを決定している。長期金利が一定水準を超えれば際限なく国債を買い入れるとのスタンスを示した格好であり、市場では10年債利回りの1%が上限となるのではないかとの思惑も醸成された。
これが債券市場の安定に大きく寄与したといえるが、米国10年債利回りのボラティリティ(20営業日)はピークアウトし、日々の利回り変動幅が4月以降縮小してきていることがうかがえる。
3月の長期金利上昇はドル高を促し、これもまた株式市場の混乱につながったが、4月に入りドル実効為替レートもピークアウトしつつある。いろいろな意味でFRBの手によってもたらされた債券市場のボラティリティ低下が市場の安定に寄与しているといえよう。