営業のフェーズには、ヒアリング、提案、検討、フォロー……とさまざまなものがありますが、特に重要なのが、ある程度商談が進んでから、もしくは受注が成立して顧客が商品やサービスを利用し始めてからのアクションです。なぜなら、顧客自身が導入や活用に向けて真剣になり、どうしたらそれをよりよく使えるかを考える時期であり、最もアドバイスを求めているときだから。この間の「顧客満足」に営業マンがどれだけ影響を及ぼせるかが、重要になってくるのです。

 顧客の立場からすると、何とかして顧客自身の満足を実現しようとしてくれる営業マンは信頼できます。そして、信用できる関係性が一度出来上がってしまうと、それを変えたくないという、現状維持バイアス(変えるより、変えない方がいいに違いないと思ってしまう人間の習性)と相まって、相談の集中、起用の集中が起こります。どんなときも、まず彼に相談してみようということになるのです。

 要するに、営業マンがいかに「顧客満足」を考えて行動できるかということですが、実際のところ、この伸びしろは営業マン個人のモチベーションに大きく左右されます。顧客のために最善を尽くそうと考えれば、「担当者が課されている目標の背景にある目的まで聞いてみる」「競合他社の製品を使った場合、どんな効果が想定されるか考えてみる」というように、もう一歩進んで、顧客を知るための行動がとれるはずです。そして、そうした行動の積み重ねが、思考の練度の差、経験の差、ネットワークの多様性の差にもつながっていきます。

これから求められるのは「営業のプロ」
次世代営業マンに必要な3つのこと

 営業マンが黙々と数字を積み重ねればいい時代は終わりました。従来のスタイルが通用しなくなった今こそ、「営業活動の本質」を見つめ直すときです。

 さらに、これからは終身雇用という前提が成り立たなくなります。自分のキャリアは自分でつくる。そういう意味でも、「営業のプロ化」が避けられません。要するに、顧客ニーズが変容しても、顧客の満足、成功のために最善を尽くすことができる「プロ」こそ、これから求められる営業マンの姿なのです。

 そして、さらにもう一つ付け加えるならば、これからの営業は組織戦です。組織としても「売ることは営業の仕事」と丸投げするのではなく、あらゆる部門が営業マインドを持って全社でビジネスに取り組む必要があります。逆に、営業マンとしては、社内のネットワークを自身の営業活動に生かせるかどうかもスキルのうちということです。