「投資家の思想」を持てれば、
世の中の見方が変わってくる

 投資は知の総合格闘技です。投資で成功するには、ビジネスに必要な知識を総合的に高めていくしかありません。そうすると自分の資産を大きく殖やすことも出来るはずですし、結果的にビジネスで成功することも出来るでしょう。一時期話題に上った「老後2000万円問題」なんて、全く大したことではない話になってきます。

「投資家の思想」を持つことが出来れば、世の中の見方が変わってくるのです。「労働者の思想」では見えなかったものが見えてきます。他の会社の動きや、世界の動きがわかるようになります。大局的な視点で自分の仕事も見つめられるようになります。それは、経営者と同じ意識を持つということです。経営者と同じ意識を持って動く人間と、言われたことしかやらない人間。どちらが出世するかは目に見えていますよね。だから投資こそが、ビジネスの最良の教科書なのです。

 私はこれまで多くの経営者と会ってきましたが、優秀な経営者は、ほとんどの場合、優秀な投資家でもあります。若い頃から投資に接し、世界の見方を学んできた人たちばかりです。ウォーレン・バフェットが「私は投資家であるがゆえにより良い事業が出来る」と断言している通りです。

 いくらリーダーシップがあっても、いくら素晴らしいアイデアマンだったとしても、それだけではビジネスを大きくすることは出来ません。投資家の目線を持って、より広く、より大きくビジネスの本質を捉えるクセを持っていなければ、ビジネスで成功することは出来ないのです。なぜならば、我々が生きているのは資本主義社会だからです。資本主義の仕組みをよく理解した人が資本主義社会で成功するのは当たり前のことです。そういう人たちが一人でも二人でも増えていけば、きっと日本の未来を変えてくれると私は信じています。

参考記事
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奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』(ダイヤモンド社)など