時間がかかり過ぎた
特措法改正や緊急事態宣言

 日本では、近年、外国に比べ感染症の被害が比較的に少なかったので、危機意識が低い。

 さらに 第2次大戦の悲惨を経験したトラウマから「ウイルスとの戦争」や「緊急事態宣言」といった言葉にはアレルギーがある。

 基本的人権を侵害する恐れがあるとして、外国では普通の、非常時の外出禁止などの措置が決められていない。

 3月の新型インフルエンザ対策特別措置法の改正法制定や4月7日の7都府県を対象にした緊急事態宣言の発出に時間がかかったのも、強権的な措置に慎重な社会の空気が反映されている。

 しかし感染症は時間との戦いだ。火事と同じで早期消火が重要だ。今回のように感染症が始まってから手当てをするのでは、手遅れになる。

 現在起きている新型コロナウイルスを克服することがまずは大事だが、並行して「感染症との戦争」の防衛を強化しなければ、国民の生命が危険にさらされる。

行動基準や連携体制を定める
「感染症対策基本法」が必要

 感染症対策を強化する戦略として、まずは、感染症が発生した際の行動基準や各省庁や自治体、医療機関などの連携体制などの枠組みを定めた「感染症対策基本法」を制定する必要がある。

 今回は新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正で対応した。だが現在の法律が対象としていない新しい感染症が発生した場合、また法律を制定しなければならない。

 防災対策基本法を参考に、次の内容の基本法を制定すべきだ。

(1)法律の対象を感染症一般に拡大する。
(2)防災の避難勧告などの警戒レベルを参考に、レベル1から5までの行動基準を決める。

レベル1 国民に注意を呼び掛ける
レベル2 国民の自発的行動に期待
レベル3 行政による外出自粛の呼び掛け
レベル4 緊急事態宣言に基づく要請・指示
レベル5 外出制限や都市封鎖。外国並みに法律で規定する

 感染症が発生したら、都道府県ごとにレベルを発表し、状況に応じ変えていく。そうすれば、国民も企業も地方自治体もその段階にふさわしい行動を取ることができる。

 現行制度では緊急事態宣言が出るまでは、例えば、学校の休校の判断を、地方自治体の首長に任せているが、専門的な医学知識と判断が必要なため、無理がある。台風と同じように、各地域の警戒レベルを示せば、首長は判断しやすくなる。

(3)厚生労働省だけでなく、政府の経済活動、国民生活、文教、治安、外交などの担当省庁が初期の段階から連携する体制を作り、官邸に危機管理センターを設置する。