だから少しでも余裕のある人は、10万円が振り込まれたらすぐに使うべきです。それを生活費に使ってしまってはいけません。「使う予定だったもの」に使うだけなら、景気にとってプラスにはならないからです。口座に給付金をそのまま置いておくのも、同じことです。

 一番いいのは、ATMから10万円を降ろして街にでかけ、いつも買わないもの、使わないことにその10万円を使うことです。そうすると、新しい需要が生まれます。そして、そこに乗数効果が加わります。

 乗数効果を簡単に説明すれば、「お金を使ったら、それをもらった人がまた使う効果」のことです。身近な例として、私の近所の新宿・歌舞伎町でお金が使われることを想定しましょう。ある人がキャバクラで使った不要不急のお金のお陰でキャバクラ嬢が儲かり、彼女たちがそのお金をホストクラブで使う。そうするとホストの歩合給が増え、彼らがコンビニでたくさんビールを買って家に帰る――。そんな経済循環が生まれるわけです。

うまくいけば12兆円の予算で
30兆円の経済効果を生める?

 この乗数効果は、概算で言えば2.5倍くらいを期待することができます、よって、12兆円の予算をかけた給付金で、皆がちゃんと浪費してくれたとしたら、2.5倍の30兆円に相当する経済効果が生まれます。これは日本のGDPが6%くらい増えることになるわけで、本当にそうなれば経済にとってすごくプラスです。

 しかし、これは私の予測ですが、10万円をもらった国民の大半は、残念ながら、前述の4択で「1」から「3」までのどれかを選ぶでしょう。おそらく「4」を選ぶような、経済学的に正しく、道徳学的に社会不適応な行動をとることができる人は、私の予測では2割程度に過ぎないと思います。そうなると、得られる経済効果は30兆円ではなく6兆円。12兆円かけた予算案も元がとれません。