今月フェニックス(米アリゾナ州)の空港で搭乗ゲートに着いたフアン・グリマルドさん(22)は、たぶん皆、遅れているのだと思っていた。建設現場での仕事を終え、故郷エルパソ(テキサス州)行きのアメリカン航空の安いチケットを購入していた。コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で大半の人は自宅待機していると知ってはいたが、視界に他の旅客はいなかった。ゲートに近づくと職員から名前を呼ばれ、あいさつされた。奇妙だった。搭乗し、当惑した。空席が並んでいた。「そこで分かった。客は自分だけだった」飛行機での移動は空間と時間の感覚を狂わせる経験だ。コロナウイルスの感染拡大で人々が「巣ごもり」するようになってからは、特にそうした傾向が強い。空港は不気味なほどにひと気がない。米政府の統計によると、旅客の数は実に95%減少している。
パンデミックで旅客機1人占め、空港は無人で不気味
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