安部晋三
緊急事態宣言の延長を決めた安倍総理には、官邸からリスクを遠ざけようという姿勢が見える Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

 緊急事態宣言が約1カ月延長されることになりました。延長すること自体は私も止むを得ないと思っていますが、それを発表した5月4日(月)の安倍総理の会見には心底ガッカリしました。この会見からは、今後のコロナ対応は官邸主導ではなく、官僚主導になるだろうという印象しか受けなかったからです。

緊急事態宣言の延長を決定
安倍総理会見の3つの問題点

 実際、この日の安倍総理の会見はとても評価できるような代物ではありませんでした。大きな問題点として3点を指摘できます。

 第一は、緊急事態宣言を延長することは止むを得ないとして、そこからの出口戦略を何も示さなかったことです。約1カ月にわたる緊急事態宣言と自粛要請により、日本中の飲食店やホテル、中小企業、低所得世帯などは悲惨な状況に陥っています。それでもみんな歯を食いしばって頑張ってきたのは、「連休明けまでの我慢」と思っていたからです。

 それがさらに約1カ月延期というのは、たとえて言うならば、ゴールを目指して全力でフルマラソンしていたのに、ゴール直前になってもう一度フルマラソンをしろ、と言われたのに等しいのです。これでは、5月に力尽きて倒産や廃業の選択肢を選ぶお店や企業が激増してもおかしくありません。

 だからこそ、緊急事態宣言と自粛要請を延長するならば、どのような条件が満たされたらそれらが解除されるのかを具体的に示し、民間のビジネスにとって不可欠である将来の予見可能性を高められるようにすべきだったのです。それなしに走り続けろというのは、あまりに無責任と言わざるを得ません。

 その意味では、自粛要請についての出口を明確にした吉村大阪府知事の方が、政府よりよほど誠実な対応をしていると評価できます。