今の市場はバーゲンセール

 なによりもまず事実を直視することです。これは企業分析、市場分析にも通じます。例えば、新型コロナウイルスに関して言えば、今までの感染症と比較した場合の健常者の致死率の低さや年齢による重篤率の差異などです。ミクロ的、個人レベルでみれば決して冷静になれない事情や感情があるのは理解できるところですが、それをあえて突き放して、俯瞰(ふかん)的に物事をとらえると見え方が異なってきます。

 新型コロナウイルスは確かに中短期的には人びとに大きな問題を引き起こしています。ミクロ的にいえば、倒産する企業も相当な数になるでしょうし、新型コロナ自体を過小視することは危険です。だからといって、これで人間そのものの生活が長期的に変わると過大視するのも危険です。

 所詮、人の生活は変わるものではないし、いつかは分かりませんが、新型コロナウイルスは必ず収束します。人が必要とする財・サービスを提供できる無茶苦茶強い企業を選ぶことができるのであれば、今のような株式市場はバーゲンセールです。笑みを浮かべながら、コツコツと少しずつそういう企業を買いましょう。

参考記事
私がコロナ暴落に一切
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カリスマファンドマネジャーはコロナ相場をどう見ているか
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』(ダイヤモンド社)など