与党はユン前理事長批判勢力を「親日」と一蹴

 一方で、与党はユン前理事長の擁護に立ち上がった。

 与党議員はユン前理事長に対する批判は「親日・反人権・反平和勢力の最後攻勢」であり、「屈辱的な韓日慰安婦合意を成立させた未来統合党、日帝と軍国主義に媚びた親日メディアを総動員したものだ」といい、別の議員は「慰安婦被害者の生活支援は国の役割なので、『寄付金がおばあさんのために使われなかった』という保守陣営の問題提起は方向違いだ」と擁護している。

 与党は、今回の問題を提起した人々に「親日」のレッテルを貼れば、与党の下に団結する「錦の御旗」になるとでも思っているのであろうか。仮に生活費の支援は国の役割だとしても、ユン氏の寄付金流用疑惑にどう答えるつもりだろうか。

 政府与党はこれまでさまざまな不正疑惑を強権とマスコミ封じで抑えてきた。そして「反日」を合言葉に左派系人士を結集し反撃に出た。今回も同様の手法で乗り切ろうとするだろう。

元慰安婦と市民団体の批判にどう応える

 こうした正義連の反応に対し、元慰安婦やマスコミ、市民団体はさらに攻勢を強めている。

 イ・ヨンス氏は13日、「月刊中央」のインタビューで、「ユン氏は『今からでもありのままを話すことが正しい。良心もない』と反発している。

 そして正義連やユン前理事長とは「和解はしない。和解はできない。挺対協(正義連)は直して使えるものではない。解体すべきだ」と痛烈に批判している。

 正義連はイ・ヨンス氏が92歳であり、記憶は歪曲されている部分があると述べたが、インタビューした記者は、「イさんはこれまでの慰安婦被害者人権活動や慰安婦合意当時のこと、13歳の時のことまで鮮やかに覚えていた」と述べ、正義連の主張が根拠のないものであることを指摘した。

 さらに市民団体は、ユン前理事長と正義連の李娜栄(イ・ナヨン)現理事長を横領、詐欺罪で告発している。韓国の政界があくまでもユン前理事長以下を擁護するならば、市民団体の消耗戦に首を突っ込むことになる。

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 与党は既に4月の国会議員選挙での違反行為が指摘されており、さらにチョ・グク前法相の不法行為を強引にもみ消そうともしている。正義連の欺瞞に肩入れしすぎると自らの墓穴にもなりかねないことを肝に銘じるべきである。今回は、韓国国民が支援する元慰安婦の告発であることを忘れないことが賢明である。

 一連の騒動で明らかになったことは、正義連はあくまでも政治目的のために元慰安婦を利用してきたこと、元慰安婦のためと仮面をかぶっているが、慰安婦のためよりも自分たちの利益が大事だということ、そのためには真実はいくらでもねじ曲げることである。

 今の状況は韓国国民の目にどのように映っているのだろうか。韓国国民も歴史の真実、挺対協の欺瞞性から目を背けてはいけない。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)