コロナ問題による鉄道事業者への影響が広がる中、京成電鉄の2020年3月期業績が発表された。当初の見通しよりも営業利益は大幅な減少となっており、さらに今年度も厳しい状況が続くことになりそうだ。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
運輸事業の不振が
減益の主因に
京成電鉄は4月30日、2020年3月期連結決算を発表した。売上高にあたる営業収益は2748億円(前年同期比5.1%増)だったが、営業利益は283億円(同10.4%減)の増収減益だった。
セグメント別に見ると、営業収益の増加をけん引したのは「運輸業」と「不動産業」だ。
グループ中核事業である「運輸業」は昨年10月のダイヤ改正で成田空港アクセス特急「スカイライナー」を大幅に増便したこともあり、営業収益は71億円増加の1611億円。
また「不動産業」は千葉と津田沼で中高層住宅の販売が進んだことと、日本橋にビジネスホテルを新規開業したことにより22億円増加の247億円。この2つのセグメントで93億円の増収となり、グループ全体の増収分132億円の実に7割を占めた。
ところが、営業利益を見ると、「運輸業」の厳しさが見えてくる。
グループ全体の営業利益は33億円の減益となったが、「運輸業」の減益額はそれを上回る45億円に上っている。
もっとも「運輸業」については、空港アクセス輸送増強のために車両の新規導入などの追加投資を行った影響で、2019年度は当初から増収減益が見込まれていたのは事実だ。
だが期首の時点で予測されていたのは3.5億円の減益であり、第3四半期までは予測以上に好調に推移していただけに、最後の3カ月で状況が急転したことになる。
業績悪化の原因は言うまでもなく、新型コロナウイルス感染拡大にともなう、2月後半から3月の旅客需要の急激な落ち込みである。