多田 テルモのカテーテル事業の成長は、グローバル市場で勝つための戦略の1つでもあったのですね。そして2000年以降は、海外企業のM&Aも積極的に行われていますね。

佐藤 はい。知財関連や販売網など、その土地でのインフラが整っており、既に実績のある現地の会社を買収することで、我々もその会社と一緒に成長していこうと考えました。買収といっても、買収先の人員整理をしたり、その会社のカルチャーを一気に変えたり、といったやり方は私たちには馴染みません。買収後もこれまでの経営陣には残ってもらい、テルモの子会社として事業を大きく育てていく道を探ってきました。

 これまで20社以上の買収をしましたが、一貫してこのやり方を繰り返すことで、結果的に、テルモとしての海外基盤ができました。

グローバル展開における
企業買収時の4つの「判断基準」

テルモがグローバルで勝ち続ける理由、全員で共有する「価値観」重視の戦略とは

多田 M&Aを成功させるための買収先の判断基準は、どのように置かれているのでしょうか。

佐藤 明確に基準をおいています。

 まずは(1)「事業ポートフォリオ上、必然性がある」こと。たとえば、成長性が見込める事業であっても、当社の事業に関係がない場合は対象にしません。

 次に(2)「財務的に合理性がある」こと。つまり、投資家に数字で説明できるかどうかを指します。

 そして大事なのが(3)「文化的に親和性が高い」ことです。先ほどお伝えしたように、買収先の経営陣もグループの一員として事業の成長を一緒に目指していきます。ですから、企業風土や価値観が近い相手でないと難しいのです。

 そして最後に(4)「経営フィージビリティが高い」こと。短期的な利益だけでなく長期的に価値を生み出せるか、その企業の成長スピード、組織規模など、我々が経営できる相手かどうかを考えています。