上下階の騒音トラブル、ゴミ置き場の清掃問題、大雨による浸水、欠陥工事、管理費等の値上げ、大地震の被害……。分譲マンションに住む人にとって、悩みや不安はつきません。
さらに、新型コロナウイルスによる外出自粛で在宅勤務になり住環境の重要性に気づいた人も多いことでしょう。
『マンション管理はこうして見直しなさい』では、「うちのマンションは大丈夫だろうか?」と感じている多くの人に向けて、マンション管理のプロである著者が、イライラや不安、疑問などの問題をわかりやすく整理して、解説。
今回は、「管理委託費の見直し」について。ただ「安くしてくれ」といってもダメ。管理業務の実施状況などを確認し、また他社から見積りを取るなど手順を踏んで進めることが大事です。
割高な部分を下げるのが基本
現在の管理委託費が分譲時に設定された金額のままなら、人件費等が上がっているいまでも見直しできるケースがあります。
ただし、根拠も示さずただ単に「安くしてくれ」と管理会社に申し入れても、うまくいくはずがありません。管理会社がよく使うセリフは「一生懸命やっています」「これ以上は無理です」「管理の質に関わります」といったものです。最近はこれに加え、「人件費が上がっているので」ということもあるでしょう。
そして、総額の5%や10%といった感覚的な金額の見直しで妥協するケースが少なくありません。本当はいくらくらい割高だったのか分からないまま、うやむやのうちに決まってしまうのです。
管理委託費の見直しは、市場の競争価格と比較して割高な部分を下げるのが主な目的です。また、どんな業界でもそうですが、適正な利潤は必要であり、ギリギリのコストでは安定した業務を期待するのは難しいでしょう。「安かろう、悪かろう」となっては意味がありません。
管理委託費を見直すには、図表44のような手順で行います。
まず、現在の管理委託契約について、業務の範囲、仕様や金額をチェックし、割高な部分がないか確認します。
管理委託費は当初、売主である不動産会社が管理会社とともに、業務の範囲や仕様をもとに金額を設定しています。しかし、建物が完成前なので多くが仮であること、管理会社が社内で設定した基準単価をもとに積算することなどから、実際のコストとは差があります。それぞれのマンションの現状に合った業務内容、金額であるかどうか、チェックするのです。
そのためには、外部の専門家の意見を求めたり、ほかの管理会社から見積りを取るとよいでしょう。
(本原稿は、ソーシャルジャジメントシステム編、廣田晃崇著『マンション管理はこうして見直しなさい[新版]』からの抜粋です)