科学と経済学の細かいところが理解できない単純な人間には、新型コロナウイルスによる都市封鎖(ロックダウン)をめぐって全米で繰り広げられている複雑な議論を明快に説明してくれる「物語」が必要だ。幸いなことに、メディアではいつもの賢人たちが悪役とヒーローを決めて、分かりやすい道徳的寓話(ぐうわ)を提供している。ロックダウンが長引きすぎているとか、再び生計を立てられるようにしたいとか言うあなたは科学を否定する時代遅れの人間であり、食べ放題のバーベキューをむさぼるために、病気の子どもや今にも死にそうな祖父母の上をはってでも、いつものレストランに行こうとする反社会的快楽主義者だ。そうでなければ人々のことより利益を優先する強欲な資本家で、また搾取できるように従業員を職場に戻したい、さらには従業員が病気になって亡くなれば一石二鳥だ、と考えている。
ロックダウンの是非、モラルで語る危うさ
メディアは悪役VS.ヒーローの分かりやすい道徳的寓話を提供
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