【その2】在宅勤務中の部下が悩む
2つのコミュニケーション問題

 部下が抱えるテレワーク中のコミュニケーションにおける大きな問題は2つある。1つは「仕事上連携する他者の動きがわからないこと」、もう1つは「対面しない折衝のやりにくさ」である。

 前者においては、まず「自分以外のメンバーの動きがわからない」という部下がいる。職場にいれば、なんとなく耳に入ってくることで他者の動きを把握することができるが、テレワーク環境ではそれができない。

 一方で、「『チームメンバーの動き』ならある程度わかっている」という部下もいる。しかし、そんな部下も「仕事上連携する『他部門の動き』まではわからない」と言う。そのため「ある日突然仕事が降ってくる」「前工程、後工程を担当する部署で仕事が止まっていても状況がわからない」といったことが起こる。

 これは、上司自身が他部署の動きを把握できておらず、なおかつ、部下も他部署の情報に直接アクセスする道筋もないことから生じる問題だ。こういった話は、開発、製造、制作、業務管理といった部門でよく聞く。

 もう1つの「対面しない折衝のやりにくさ」については、営業などの社外との交渉を伴う部門でよく聞く。例えば、営業では、顧客の言葉以外の表情、口調の変化といった言語化されない「ノンバーバルメッセージ」から相手の反応をつかむことが多い。対面ではこれらの情報が多く得られるが、テレワークではこれが得にくくなる。

 Zoomなどのウェブ会議システムを使って商談をすれば、90%ぐらいは対面に近い感覚で話をすることができる。しかし、相手のちょっとした表情の変化や口調の変化は感じにくい。営業や折衝は、欠けてしまった残り10%の空気感が勝負どころになるものだ。

「他者の動きがわからない」という課題に対しては、少なくともチーム間で情報共有を積極的にするべきだ。これに関しては、週に1度のオンラインチームミーティングなどで対応が進んでいる。一方、他部門の動きに関する情報は「上司が取りに行き、チームで共有する」というアクションが必要だ。テレワーク下の上司は「情報のハブ(中継点)」になることが通常時以上に求められる。

 もう1つの「対面しない折衝のやりにくさ」に対しては、上司が支援できることは少ない。だからこそ、上司と部下が協力し、テレワークでの効果的な折衝法を作っていくようにしたい。例えば、複数人のウェブ会議だけでなく、キーマンへは直接電話をする、といった方法も組み合わせていく。折衝相手が自宅にいるなら、会社にいるときとは違う「ここだけの」話を聞き出すチャンスになるかもしれない。