「見たか!これが日本の底力だ!」と浮かれてしまう人もいるだろうが、ちょっと落ち着いて周りを見ていただきたい。同日の死亡者は、お隣の韓国で5人、ウイルスの発生源と言われる中国では3人、さらにインドでも2人となっているのだ。

 つまり日本の重症化対策は、欧米と比べると確かに「ケタ違いの優等生」なのだが、東アジアの中では極めて平均的、むしろ「劣等生」の部類に入るレベルといえる。

コロナ対策にバラつきがあっても
死亡者が少ない東アジアの共通点

 断っておくが、筆者は日本のコロナ対策を批判しているわけではない。今、世界で起きている現実を客観的に見る限り、日本人のルールを守るマジメさや、清潔好きな国民性などという「ふわっ」とした話は、コロナの死亡者数にそれほど影響していないのではないかと言いたいだけだ。

 当たり前の話だが、日本も韓国もインドも中国も、文化も国民性も生活様式もまったく異なる国々だ。社会制度や医療体制にも違いがある。そのため当然、今回のコロナ対策にもバラつきがある。

 しかし、「結果」にはそれほど大きな違いはない。感染者数は人口規模などによって違いはあるものの、欧米と比べて重症化患者が圧倒的に少ないという点においては、共通しているのだ。

 この事実から導き出される答えは、1つしかない。それは「東アジアには新型コロナの重症化を防ぐ何かしらの要因がある」ということだ。

 もちろん、現時点ではそれが何かはわからない。気候的なものか、人種的なものか、遺伝子的なものなのか、あるいは少し前に注目されたBCGワクチンの接種率の違いなのか――。それは、これからの研究によって明らかにされることを期待するしかない。

 ただ、少なくとも「マジメな国民性」や「医療従事者が頑張ったから」という抽象的な話ではないということは断言できる。ましてや安倍首相が会見で述べた「日本の感染症への対応は、世界において卓越した模範である」などということは、科学的根拠のかけらもない御都合主義的な解釈だろう。