コロナ報道でよく聞く「医学誌」の正体、信頼性の見極め方とはコロナ報道でよく聞く「医学誌」とは一体どんなものなのか? Photo:PIXTA

新型コロナウイルスのニュースで、「研究グループは、臨床試験の結果を“医学誌”で発表した」といった表現をよく見かける。ここで出てくる「医学誌」とは何だろうか。その実態を知らない読者も多いのではないだろうか。今回は、「医学誌」の役割、そして新型コロナ関連の報道では度々お目にかかる医学誌に載っていない「論文のようなもの」についても解説する。(サイエンスライター 島田祥輔)

新型コロナ報道でよく聞く「医学誌」
200年以上の歴史があるものも

 医学誌とは、医学研究の成果が載っている雑誌をまとめて呼んだものだ。専門誌の一種である。

 漫画雑誌に『週刊少年ジャンプ』や『モーニング』『月刊!スピリッツ』などがあるように、医学誌にも『New England Journal of Medicine(以下、NEJM)』『The Lancet』『The Journal of the American Medical Association(以下、JAMA)』など、さまざまな出版社(または学会)からいろいろな医学誌が出ている。

 医学誌の歴史は古く、例えば『NEJM』の創刊は1812年にさかのぼる。『The Lancet』は1823年、『JAMA』は1883年に創刊された。もちろん、ここ10年の間に生まれた医学誌もある。

『週刊少年ジャンプ』にいくつもの漫画が載っているように、1つの医学誌に複数の「論文」、つまりいろいろな研究グループによる多種多様な研究成果が掲載されている。

 そして、「医学誌」という名前からは紙の雑誌を想像してしまいがちだが、今や医学誌も紙の時代ではなく、オンラインでほとんど完結している。論文ごとにウェブページとPDFが作られており、研究者や医師は、医学誌のウェブサイトに行き、気になる論文があればチェックする、というのが当たり前になっている。